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高齢社会とは?改めて知っておきたい高齢社会の問題点

掲載日:2018/11/03

日本の高齢化が進み、この点が問題視されていることをご存じの方も多いと思います。よく「高齢化社会」と言われますが、厳密にいうと、日本は「超高齢社会」に入っており、その高齢化率は世界でも例を見ないほど。

高齢化が進むと具体的にどのような問題がでてくるのでしょうか?ここでは高齢社会の問題について紹介していきます。

 

そもそも「高齢社会」とは?

「高齢社会」とは全人口のうち65歳以上の人が14%を超える世の中のことを意味しています。7%を超えると「高齢化社会」、21%を超えると「超高齢社会」といいます。日本は「超高齢社会」に突入し、2025年にはおよそ30%にまで数値が上昇する見通しです。(「世界一の高齢社会・ニッポン」図1)

全人口中、65歳以上の人が占める割合を高齢化率といいますが、数値が高過ぎると、とくに介護に関してはどういう問題点があるのでしょうか。

 

 

高齢社会の問題点とは?

超高齢社会の問題点として考えられるのが「老老介護」と「認認介護」。この老老介護、認認介護という言葉をしっかり知っている人は少ないのではないでしょうか。超高齢社会の問題点は他にもありますが、この2つの介護問題も軽視できない問題ですので、意味や注意点を見てましょう。

 

老老介護とは?

老老介護とは、夫婦間や親子間、兄弟姉妹間など、介護をする人とされる人がどちらも高齢者である状態を意味する言葉です。さほど深刻化していないのではないかと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。

2017年に発表された厚生労働省の調査結果では、老老介護世帯の割合は約55%と、現時点で既に半分以上を占めているのです。また、そのうち75歳同士は約30%を占めているという調査結果が出ています。

 

老老介護のココに注意

高齢で体が衰えている人が介護を行なうことになるため、実感する体の負担は若い介護職従事者に比べて過大なものになります。要介護度が高いほどその負担の大きさは顕著で、介護時間がほぼ一日中ともなると精神的な負担も大きく、虐待や介護殺人・心中も起こり得ます。老老介護ではリタイアしている人も多く、金銭面で困窮するリスクが高いのも老老介護の注意点のひとつといえるでしょう。

こうした要因が重なって介護する人が限界を超えてしまい、介護する人まで第三者の支えなしでは生活できない共倒れ状態に陥ることもあります。

 

老老介護が増加している理由

高齢になるほど介護が必要な状態になるリスクは高いです。日本の医療技術は発展を遂げて平均寿命が伸びましたが、その一方で介護が必要な状態になるリスクが現実化しているケースが増えています。

また施設に入れたり、訪問型の介護サービスを利用したりする資金を捻出できない世帯が多いのも、老老介護増加の理由のひとつです。そのほか、第三者に頼ることへの罪悪感、お風呂やトイレなどの世話を第三者にされる嫌悪感など精神的な面も、主な理由に含まれるでしょう。

 

認認介護とは?

認認介護とは、老老介護の中でも介護をする人とされる人が、どちらも認知症を患っている状態を言います。

厚生労働省の推計によると、2025年には認知症高齢者の「日常生活自立度Ⅱ」以上の高齢者が470万人にのぼる見通しです。(厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」)認知症は、介護が必要な状態になる原因として挙げられるほど。老老介護世帯の中で認認介護になっているケースは決して珍しいことではないのです。老介護以上に、深刻な状態にあるともいえます。

 

認認介護のココに注意

忘れる、わからなくなってしまうことが、認知症の危険な症状のひとつです。食事や服薬、トイレなど介護を受ける側にするべきケアを行なったかどうか、介護する側がわからなくなってしまうのです。

また、水道やガスの火の止め忘れやライフラインの料金の支払い忘れ、口座の暗証番号や緊急時の連絡先を忘れるなど、多くのリスクがあります。

 

認認介護が増加している理由

老老介護と同様の理由で、認知症は高齢になるほど発症リスクが高まります。医療技術が発展し、平均寿命が高まった現在の日本では、認認介護が増加しているというのも頷ける話です。

また老老介護の状態にある高齢者世帯が周囲に助けを求められず、孤立してしまっているケースが多いのも理由のひとつでしょう。強いストレスが認知症の原因になる可能性があるとの報告もあり、精神的負担の大きい老老介護は認認介護に至るリスクが高いと考えられます。

 

 

超高齢社会は老老介護や認認介護だけが問題点ではありません

老老介護や認認介護以外の問題点のひとつに「介護難民」があります。介護難民とは、介護を必要としているのに、家でも病院でも施設でもその望みが叶っていない人のことです。2025年には、介護難民がおよそ700万人にのぼるという見通しも立てられています。(公益社団法人日本経済研究センター「経済百葉箱」2013年度番外編②「介護難民をなくせ」)介護難民はなぜ増加し、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか。

 

介護難民のココに注意

まず介護を希望している人が一人暮らしの場合には、必要なサービスを受けられないまま孤独死してしまうリスクがあります。そこに至るまでのあいだに、認知症があればそれによる事故・事件を起こしてしまうことにもなりかねません。

一人暮らしでない場合には、在宅介護による家族にかかる負担が問題点としてあがるでしょう。介護のために退職を余儀なくされる問題、介護する人が高齢であれば老老介護などの問題も生じてくることになります。

 

介護難民が増加している理由

介護施設が足りていないことが介護難民が多くなっている主な理由のひとつです。また介護人材が足りていないことも深刻な問題で、介護職員に対しての待遇の悪さや過酷な労働環境などが人材不足を助長していると指摘されています。需要に対して供給量が追いついていないこと以外には、利用者側の理由もあります。

十分な資金の備えがなかったために、介護難民状態に陥ってしまう人は少なくありません。

 

まとめ

高齢社会、超高齢社会と世の中における高齢化率の高まりに伴い、介護に関係することだけでも複数の問題点が出てきています。人は皆、年齢を重ねていくため、今回取り上げた話は誰もが直面し得る問題です。

自分には関係ないと軽視するのではなく、起こりうる問題を直視し、できることから対策をしていきましょう。

 
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