筋肉をつける食べ物

高齢になると、筋肉量の減少や筋力の低下が起こります。元気な筋肉を維持して、いつまでも生き生きと過ごすためには、毎日いろいろな食品をまんべんなく食べ、特に筋肉のもととなるたんぱく質をしっかりと摂取していくことが大切になります。  

筋肉を合成する力は加齢とともに低下する

筋肉は、いつも合成と分解を繰り返しています。加齢によって分解される量が合成される量よりも多くなりやすいため、どんどん筋肉が減っていきます。筋肉を合成する力を高めて筋肉量を維持することが重要です。 筋肉は生まれ変わる期間が短く、1~2か月で組織の半分が入れ替わります。高齢になっても筋肉は増やすことができるのです。  

筋肉のもとはたんぱく質

たんぱく質は血液や筋肉、骨など体の材料となる大切な栄養素です。加齢により食事の量が減るとともに筋たんぱくの合成力が低下します。意識してたんぱく質を摂る必要があります。 たんぱく質は体内でアミノ酸になります。アミノ酸の中でも、体内でつくられないアミノ酸が9種類あり、食事から摂らなくてはならないので必須アミノ酸と呼びます。  

筋肉づくりに効果的な「ロイシン」

必須アミノ酸の中でも特にロイシンには筋たんぱく合成促進を行う効果があります。筋肉づくりには、必須アミノ酸の中でも特にロイシンが効果的です。  

たんぱく質は毎回の食事で摂りましょう

たんぱく質は1食あたり20gを目安に毎回の食事で摂りましょう。(腎機能低下の不安がある方はかかりつけ医にご相談下さい) これまで筋肉量の維持には、1日あたりのたんぱく質総摂取量が重要であるとされていましたが、3食のなかで偏ったたんぱく質摂取をすると、たんぱく質摂取総量が足りていても筋肉量が低下するという研究や朝食で摂取するとよいという研究もあります。 おにぎりやうどんなどの単品だけではたんぱく質が必要量摂れません。たんぱく質が不足した時間があると、筋肉の再合成ができずに筋肉量が減ってしまいます。 また、摂取エネルギーが不足すると、筋肉のたんぱく質がアミノ酸に分解され、肝臓でグルコースを作ることに利用され、筋肉量が減少してしまいます。忙しい時でもたんぱく質を摂れるよう食品を組み合わせて、3食まんべんなく食べることで必要なたんぱく質を摂りましょう。 例えば、魚の煮つけの食事ではたんぱく質合計29.2gです。  

いろいろな食品を摂りましょう

肉・魚・卵・豆類・乳製品などからバランスよくたんぱく質をとりましょう。  

たんぱく質ちょい足しポイント

たんぱく質が足りない時には大豆製品がおすすめです。日本人は昔は肉などあまり食べていなかった。それでも筋力があったのは大豆のおかげもあったのではないでしょうか。

バナナヨーグルトのきなこかけ

バナナ60g 加糖ヨーグルト80g きなこ 大さじ1 エネルギー127 kcal たんぱく質5.9g

削り節たっぷりの冷奴

絹とうふ 150g 削り節  1g しょうゆ 3g エネルギー90kcal たんぱく質8.3g  

運動後にロイシンを含む食品補給を

筋力トレーニング後45分以内にロイシンを摂ると筋肉量が増えたという研究結果などもあります。きなこ入り牛乳、温泉たまご、プリンなどを補給すると筋肉アップにつながる可能性があります。  

栄養の基本はバランスのよい食事を摂る

必要なエネルギー・たんぱく質などの栄養素が十分摂取できます。

主食

ごはん、麺、パンなど炭水化物(糖質)をとります。 血糖の上昇を促進し、インスリンを分泌させます。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンですが、一方でたんぱく質や脂質の合成を促進します。

主菜

肉・魚・卵・大豆製品などを使ったおかず。 主にたんぱく質源で骨や筋肉を作るので偏りなく摂りましょう。魚や肉には脂質も含まれている傾向があります。(腎機能に問題のある方は医師に相談を)

副菜

野菜や海藻などを使ったおかず。 体の調子をととのえるビタミン、ミネラル、食物繊維の供給源です。緑黄色野菜や淡色野菜、根菜などの野菜を組み合わせて使いましょう。 野菜にたんぱく源をプラスして作り置きすれば手軽に一品が用意できます。

乳製品

牛乳、ヨーグルト、チーズ、スキムミルクなどは、たんぱく質やカルシウムの手軽な補給源です。 乳製品に含まれるカゼインというたんぱく質は、筋肉を作るロイシンを豊富に含んでいます。

果物

ビタミンやミネラル、炭水化物や水分の補給源です。  

まとめ

・主食、主菜、副菜を毎食そろえる ・朝、昼、夕均等に食べる ・欠食はしない ・肉か魚を1日2品、卵と大豆製品を1日1品 ・主食は毎食摂取 ・牛乳かヨーグルトを1日コップ1杯 元気な筋肉を持ち続ける事は介護予防にとって絶対条件です。運動習慣とともに食事は3食規則正しく食べ健康長寿の延伸を!   参考: 鳥居邦夫・門脇基二監修,アミノ酸科学の最前線,シーエムシー出版,2014 荒木厚・府川則子監修,60歳からの筋活ごはん,女子栄養大学出版,2018 杤久保修・安藤敏彦,アミノ酸と生活習慣病,女子栄養大学出版,2010 葛谷雅文編集,健康寿命延伸をめざす栄養戦略,医歯薬出版,2016   石川 京子(いしかわ きょうこ) 「栄養ケア」担当講師 NPO法人 ヘルスケアデザイン研究所 理事長 病院で20年以上栄養士をしていた時、人生の後半は地域の健康づくり支援を行ないたいと思い、大学院に社会人入学して高齢者の栄養について学ぶ。修士修了後、横浜市立大学 医学部 社会予防医学教室 共同研究員となる。管理栄養士、健康運動指導士、介護支援専門員。現在は、栄養相談、地域包括支援センター等で介護予防講師、企業の健康づくり講座、料理と体操教室等を通じて、地域に根ざした健康づくり支援活動中。   →介護予防指導士とは